何気なく見ている化粧品の成分表示。
その表示の仕方にはちゃんとした決まりがあることをご存じですか?
今回は化粧品と薬用化粧品の成分表示の読み方をまとめてみます。
化粧品の成分表示のルール
全成分が表示されている
化粧品は「薬事法」という法律の下、全成分の表示が義務付けられています。
表記される名称は、基本的に日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用するようになっています。
メーカーや製品によって表記名が違って混乱するじゃないか!ということは基本的にありません。
配合量の多い順に並んでいる
加工食品や飲み物と同じように、化粧品も成分の配合量が多い順に記載されています。
配合量が1%以下のものは順不同でOK
基本的には配合量が多い順に並んでいますが、配合量が1%以下の成分については順不同でOKとされています。
全成分が表示されている中で配合量1%以下の成分を見分けるのは大変ですが、以下の3つが見分けるポイントになってくれます。
- 植物エキス
〇〇エキスというように植物エキス成分はほぼ間違いなく1%以上配合されることはありません。
逆に言うと、1%以上入れなくても十分に効果を発揮してくれるのが植物エキスです。 - コラーゲン類、ヒアルロン酸Na類
こちらの成分も基本的に1%以上入れないとされています。 - 品質向上・安定化成分
防腐剤、増粘剤、酸化防止剤、キレート剤と言われる成分も1%以下で十分効果を発揮する成分です。
化粧品の品質を安定させたりpHを調整したりするために入れる成分なので、そもそもそんなにたくさん入れるものではありません。
1%以下の成分は順不同で表記がOKなので、化粧品によっては植物エキスをその中でも先頭に表記するものもあります。
コラーゲンとか植物エキスは名前のイメージが良いから、どうせなら出来るだけ前に書きたいよね~
一番見分けが付きやすいし、その2つを基準として覚えておくのも良いね!
着色剤は末尾にまとめてOK
青〇号とか、赤〇号といった着色料は配合量に関係なく末尾にまとめてOKとなっています。
人体に無害なものしか入っていませんし、スキンケア化粧品には入れても少量です。
香料は成分にかかわらず「香料」と表記してOK
化粧品の香りは、非常に様々な成分を細かく調整して調合されています。
それらも全成分表示すると大変なので、香料とひとくくりにして良しとされているようです。
実際に化粧品の成分表を読んでみた
今回試しに読んでみたのは無印良品の「化粧水・敏感肌用・高保湿タイプ」です。
僕がいつも使っている化粧水です。
成分名 | 効果・効能 | |
---|---|---|
水 | 溶媒(基材) | 主な成分、 配合量が1%以上と予想できる成分 |
DPG | 保湿、防腐、増粘 | |
グリセリン | 保湿 | |
PEG-32 | 保湿、増粘 | |
ジグリセリン | 保湿 | |
グリコシルトレハロース | 保湿、防腐 | |
加水分解水添デンプン | 保湿 | |
ヒアルロン酸Na | 保湿 | 配合量が1%以下と予想できる成分 |
アラントイン | 消炎、細胞の活性化 | |
グレープフルーツ種子エキス | 酸化防止※ | |
ポリクオタニウム-51 | 保湿 | |
スベリヒユエキス | 保湿、肌荒れ改善、収れん | |
BG | 保湿、防腐、増粘 | |
フェノキシエタノール | 殺菌、防腐 | |
PCA-Na | 保湿 | |
クエン酸Na | pH調整 | |
クエン酸 | pH調整 |
成分表示のルールや成分別の配合量目安を知って読むと、ヒアルロン酸Naから下の成分が1%以下の配合量だと予想できますね。
それにしても保湿成分いっぱい!
保湿成分もそれぞれで性質や質感が違っていて、複数を掛け合わせることで化粧品の使い心地も調整されてるよ。
特にDPGは保湿の他に防腐の性質もあるから防腐剤の作用も兼ねられるんだ。
薬用化粧品(医薬部外品)の成分表示のルール
「薬用化粧品」は普通の化粧品とよく似て非なるものです。
ちょっと化粧品と表示のルールが違うようなので、見てみましょう。
全成分表示の義務がない
化粧品とは違い、薬用化粧品(医薬部外品)には全成分表示の義務がありません。
が、 日本化粧品工業連合会の自主基準として、平成18年に全成分を表示する方針が定められました。
法律で定められているわけではありませんが、ほとんどのメーカーが自主的に全成分を表示しています。
表示指定成分は必ず表記されている
「表示指定成分」とは 薬事法で表示が義務付けられた成分です。
使う人の体質によって、ごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分として定められています。
薬用化粧品でも自主的に全成分表示する流れだけど、法律的には表示指定成分だけの記載でもOKってことだね…
ちなみに表示指定成分は全部で102種類あるよ。
順不同でOK
自主的に全成分表示をしている薬用化粧品でも、その順番はメーカーの裁量に任せられています。
日本化粧品工業連合会の自主基準の中では
- 有効成分
- その他の成分(順不同でOK)
の順番で表示するようにとされています。
有効成分って何?
医薬部外品として許可を得た薬効成分のことだよ。
それが製品の売りになるから、有効成分と分かりやすいように表示されるんだね。
化粧品と同じ成分でも名称が違う場合がある
結構厄介なのが、化粧品と薬用化粧品の成分表示では同じ成分でも違う名称で書かれている場合があることです。
例えば、化粧品では「水」なのに薬用化粧品では「精製水」だったり
化粧品では「BG」なのに薬用化粧品では「1,3-プロピレングリコール」と書かれていたりします。
どちらも言い方が違うだけで、法的にも問題ありません。
ややこしいな…
メーカーによっては、薬用化粧品も化粧品も同じ名称で統一してたりするね。
メーカーの裁量じゃなく、きちんと決まりを作ってほしいな~
実際に薬用化粧品の成分表を読んでみた
試しにライスフォースの「ディープモイスチュアローション(薬用保湿化粧水RF)」の成分表を読んでみます。
写真は先日トライアルキットを購入した時のものです。
成分名 | 効果・効能 | |
---|---|---|
ライスパワーNo.11(米エキスNo.11) | 皮膚水分保持能の改善 | 有効成分 |
水 | 溶媒(基材) | 順不同 (もしくは配合量が1%以上と予想できる成分) |
エタノール | 清涼、収れん、殺菌、防腐 | |
BG | 保湿、防腐、増粘 | |
DPG | 保湿、防腐、増粘 | |
濃グリセリン | 保湿 | |
グリチルリチン酸2K | 消炎 | |
DL-PCA・Na液 | 保湿 | |
大豆リゾリン脂質液 | 保湿、抗老化・抗シワ | 順不同 (もしくは配合量が1%以下と予想できる成分) |
ヒアルロン酸Na-2 | 保湿 | |
植物性スクワラン | 保湿、整肌、増粘 | |
天然ビタミンE | 酸化防止 | |
PEG(120) | 保湿、増粘 | |
POE・POPデシルテトラデシルエーテル | 乳化※ | |
POE(25)POP(30) | 乳化※ | |
カミツレ油-2 | 保湿、美白、肌荒れ改善 | |
粘度調整剤 | ||
pH調整剤 | ||
メチルパラベン | 防腐 |
この化粧水は「ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)」という成分が「皮膚水分保持能の改善」の機能がある成分だと許可を得た薬用化粧品です。
そのため、ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)が有効成分として記載されています。
素人目線だけど、なんとなく配合量の多い順に表示されてるくさい。たぶんだけどね…
成分表示のルールを知って、見慣れてくればそういった事も分かるようになるかもね!たぶんだけどね!
参考文献
今回の記事を書くにあたり参考にした文献はこちらです。
- 化粧品成分表示の読み方手帳
- 化粧品成分ガイド
- 薬事法ドットコム
- 日本化粧品工業連合会